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【ブックレビュー】「ライフ・シフト 人生100年時代の人生戦略」

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「どんな選択をしたら生涯を通して幸せに生きられるのか?」

「幸せな人生を最後まで全うできるのか?」

「どんな仕事をするのがいいのか?」

テクノロジーの発達で社会や仕事が大きく変わり、長寿化していく現代を生きるためにはなにが必要なのか。

「ライフ・シフト」は、このような疑問に答えをくれる実践的な啓発本……ではありませんでした。

「答え」はくれませんが、考え方のヒントがたくさん詰まった一冊です。

長寿化する社会、お金や時間の使い方、会社組織に頼らない働き方など今まで考えてなかったことを考え、今からできることを見つけるきっかけになるでしょう。

目次

「ライフ・シフト」は将来を予測している経済学と社会学の本

「老後の生活がぼんやりとしか想像できない」

「目の前の生活で忙しくて老後の事を考える暇がない」

こんな人は多いのではないでしょうか。

「これからの人生、どんな準備をしたら死ぬまで幸せに生きていけるのだろう?」

このような疑問について答えてくれるのではないかと、購入した本があります。

ライフ・シフト 100年時代の人生戦略

人生100年時代といわれる長寿時代の生き方について、正解を与えてくれそうな本書のタイトルに惹かれて購入しました。

世界的なベストセラーだといい、日本の本屋でも平積みされている人気の本だということですが、中身は思っていたよアカデミックな内容でした。

また、著者がイギリス人であり、翻訳された内容なのでそのまま日本の社会に当てはまるかどうかといわれれば、文化の違いを感じる内容もありました。

本書を読んで、これから何をしたら「正解」なのかが分かるかと期待していましたが、答えは「自分の人生は、自分で考えてね」でした。

なぜなら、これからの人生設計に「正解」はなくなり、だれもが自分にあったマルチステージの人生設計を考える必要があるからです。

「教育を受け、1つの会社に勤務し、老後は年金で暮らす」

こんな昭和のモデルは、令和時代には崩壊していくでしょう。

そのことを本書は数字や論理で教えてくれました。

長寿化で100歳を超える高齢化社会で生きていくためには、わたしたちの考え方から変えていかないといけないようです。

本の概要

本書の著者の一人であるリンダグラットンさんは、ロンドンビジネススクール経営学教授で人材論・組織論の世界的権威です。

フィナンシャルタイムズ紙「次の10年で最も大きな変化を生み出しうるビジネス思想家」などに選出されている世界的に有名な肩です。「ワーク・シフト」という本があり、日本でもベストセラーになっています。

2018年に内閣府の「人生100年時代構想会議」のメンバーに任命されており、日本にも度々来日している人物です。日本の高齢化についても論じています。

また、もうひとりの著者であるアンドリュースコットさんは、ロンドン・ビジネス・スクール経済学教授です。

英国予算責任局のアドバイザリーボード(諮問委員会)のメンバーを務めています。経済の面からこれからくる社会について解説してくれています。

「社会学」と「経済学」の2分野のプロが書いている本書は、幅広い分野にわたって論じられています。

  • 長寿化による旧来モデルの崩壊
  • テクノロジー・AIの発展による雇用の変化
  • 個人のキャリアパスの変化
  • お金や時間の概念の変化
  • 政府や会社組織の課題

このようなことについて書かれています。

統計の数字などを用いて、将来への予測について書いているため個人的な将来への準備について具体的に考えるためには少し難しい内容になっていると感じました。

次に、特に印象に残った本書の内容について紹介します。

将来の不安の原因は「100年生きることへのイメージが無かったこと」

まず本書では「100歳生きるのが普通」になるという未来の社会について書かれています。

日本の平均寿命は2022年現在、男女ともに80歳代です。

それが、日本で生まれた2007年生まれの子どもの平均寿命は107歳にもなるといいます。

実際、筆者のまわりの人間が80歳代でこの世を去っているのを多く体験しており、自分も長く生きても80歳代で生涯を終えるだろうな、と考えていたことに気づきました。

自分が100歳まで生きる事をイメージしたところ「どう考えても2,000万円の老後資金では足りないだろうな」と真っ先に思いました。65歳で現役を引退すると、40年近く老後になります。

20年長く生きる、というシュミレーションは大きく将来への準備を変えなければならないのではないかという不安がよぎりました。

人生が80年ではなく、100年とシュミレーションした場合、今までの人生のモデルが崩壊するといいます。

日本でも「3ステージ」の人生が一般的だとされてきましたが、老後が長くなるこれからは通用しなくなるといいます。

3ステージモデル

教育仕事・子育て老後

そして、これからは「マルチステージ」の考え方を取り入れる必要があります。

マルチステージ

教育会社員教育起業教育フリーランス老後
ボランティア
副業子育て教育

日本でも、「リカレント教育」という社会人の学び直しの機会を作る流れがあります。

これからは、1社に頼る働き方ではなく、様々なステージを自分で構築していく「生涯現役」の考え方が一般的になっていくでしょう。

「何を持っているか」ではなく「何ができるか、誰といるか」が大切になる

旧来の3ステージから、マルチステージが一般的になっていくためには、人間関係や健康、スキルなど目にみえない「無形資産」が大切になってきます。

家、車、お金、などの「有形資産」に比べて、無形資産は長い人生の生きがいや健康・幸せな生活などに関係しています。

長寿化する、ということは「生活資金が足りるかな」など不安な要素に注目されがちですが、医療が発展し、社会が成熟してより人間の幸福というレベルの高い性質に目がいくように発展しているという見方もできます。

ポジティブに長い人生を過ごすために、どのような無形資産が必要なのでしょうか。

生産性資産スキルや知識仲間評判
活力資産健康パートナーシップ人間関係趣味
変身資産自分自身への理解変化に対応する柔軟性多様性

マルチステージを上手にバランスをとって楽しく生きていくためには、人間関係と健康、挑戦する気持ちが大切だといいます。

子育てが一段落する60歳以降は、男女ともに自分の時間が増える事で仕事や生きがいを見つけることが重要になってきます。

老後に備える、というのはお金のことだけでなく自分のキャリアや人間関係を大切にするなど心の充実を大切にする視点がますます大事になってきそうです。

こんな人におすすめ

「漠然と老後に不安を持っているひと」

「仕事のキャリアについて悩んでいるひと」

「将来が不安なひと」

こんな人は、本書を読んで自分はどう生きていきたいのか、何を備えたらいいのか、を考える事で目標ができて漠然とした不安を解消できるでしょう。

未来について考えるのに実用的な本です。

40代より若い世代は必読!将来への準備ができる本

今、生きているすべての人におすすめしたいですが、特に今までの大きな変化を経験し、100歳が当たり前の高齢化社会をはじめて経験する世代である30〜40代の世代の人に読むことを強くおすすめしたいと思います。

自分の人生を楽しく充実し、豊かに暮らして人生を終えるためには、自分で自分の人生を考える必要があると強く感じたからです。

これからは、「お手本の人生」「正解の人生」はなくなります。

終身雇用制はまもなく終わる、もしくは、65歳で退職したあとも40年ほどの人生を仕事なしで生きていくのは難しい時代がくるのです。

人生後半を生きがいをもって心身ともに健康に生きていくためには、今自分がよいと思うことを準備していくことが必要だと考えています。

また、人との関わりで生きていくのにこんな話をする場をもうけて、皆で考えていけたらいいですよね。

将来が不安なひとは「副業」をはじめよう

「今から何を準備したらいいのか分からない」

こんな人は、「副業」を始めてみましょう。

副業には、これからの未来に必要な「無形資産」を自然に育てられる要素がたくさんあります。不確実な将来への準備ができ、自信を持つことができるでしょう。

  • 自分のスキルアップ
  • 人間関係の広がり
  • 収入の多様化
  • 変化に対応できる柔軟性
  • チャレンジ精神

副業で得られるのは、お金だけでなくこれから必要といわれる「無形資産」も同時に育てることができます。

また、新しいことを始めるのは、人生に柔軟に対応できるという自信を与えてくれますよね。

興味があること、学んでみたいことを1つ始めてみましょう。趣味として、今は収入に繋がらなくても、新しいことを始めるだけでもマルチステージを築き上げる一歩になります。

まとめ

日本でベストセラーになり、今なお売れ続ける1冊の本があります。

「ライフ・シフト~人生100年時代の人生戦略」

人生100年時代とは、これから高齢者になる人の半分以上が寿命100年の人生を生きる可能性があり、今までの暮らし方から生き方を大きく変えなければいけない、という警鐘をならす内容です。

一方で、わたしたちが将来を幸せに生きていくために「何を考えたらいいのか」についてたくさんのヒントをくれる1冊です。

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