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リスクとリスク許容度を知ろう

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「損するのがこわいから投資ができない」

インフレが進行している現代。

「何もしないで銀行口座にお金を貯めておく」ことが最大の「損」になるかもしれません。

金融商品へ投資するとき、「リスクをとる」という言葉を良く聞きます。

リスクってなんでしょう?

リスクをとることについて改めて考えてみました。

リスクは「損する可能性」というだけでなく「不確実性」のことをいいます。

金融商品を運用したいと考えている人は、リスクをこわがらず、理解しておきたいですね。

自分に合ったリスク許容度を知ることで、金融商品の運用方針が明確になり、安定した運用ができるようになります。

目次

リスクって損すること?

リスク=危険

こんなイメージはありませんか?

実は、お金の話をするときに使う「リスク」という言葉はネガティブなだけではないようです。

リスクを正しく活用することには、メリットがあります。

お金の話で使われる「リスク」の意味は「不確実性」

リスク(risk)という英語の意味は「危険」「〜を危険にさらす」です。

将来のいつかに危険や損害がおきる可能性が高いことをあらわす言葉です。

ですが、経済学や金融商品に対して使われるリスクという言葉は少し意味合いが異なってきます。

金融商品のリスクが高い、という表現をするときのリスクという意味には「不確実性」というニュアンスが含まれています。

リスクが高い=不確実性が大きい

つまり「損する可能性が高い商品ほど、得する可能性も高い」ということです。

金融商品の性質上、プラスの影響とマイナスの影響はどちらが高まると一方も同様に高まるのです。

例えば、為替取引を見てみましょう。

FXと呼ばれる通貨ペアの売買を通じて価格変動の差益を得る投資(投機)です。

Aさんが1ドルを140円で買い、150円で売ると値幅10円の分利益が出ます。

一方で、通貨ペアの売買は相対取引といって、買いたい人と売りたい人が同数いるシステムです。

先ほど1ドルを140円で買ったAさんの前には、1ドルを140円で売ったBさんが必ずいるのです。

ネットワーク上で瞬間的に取引しているため、イメージしにくいですが売買は2人の間でお互いに成立しています。

1ドルが150円になったときに、この2人が同時に決済したとします。

Aさんは140円で買って、150円で売り戻したので10円の利益

Bさんは140円で売って、150円で買い戻したので10円の損失

結果的に、この取引には10円のリスクがありました。

Aさんにとっては、10円のリスクは利益だったのに対して、Bさんにとってはリスクは損失でした。

このように、同じ10円のリスクをとって、プラスになる人もいればマイナスになる人もいます。

損するか、利益になるかは、投資した時点は不確実なので10円のリスクをとる、という表現をします。

上記の例では、最初に売買した時点ではAさんBさんどちらが利益を手にするのかがわかりません。

ドル円が130円になっていたら、Aさんが損失を出して、Bさんが利益を得ていました。

この不確実性がリスクです。

売買を始める前に「この取引には約10円のリスクがあります」と見積もることで、投資のリターンとリスクを見極めて投資行動に出ます。

FXは、ゼロサムゲームといって利益を出した分だけ他の誰かが必ず損失を出している性質があります。

そのため、リスクの高さはそのままリターンの高さでもあるのです。

大きく儲ける可能性も大きく損失を出す可能性も同じようにあり、どちらの結果を受け取るのかは不確実です。

金融商品について「リスク」という言葉においては、高くなるほど損する可能性と同時に利益を得られる可能性も高くなります。

「リスクをとる」

投資で大きく利益を得たい人は、同じだけの損失を受け取る覚悟をしなければならないのです。

「どのくらいのリスクを自分はとれるだろうか?」

この考えを「リスク許容度」といいます。

投資をして上手に資産形成をしたい人は、リスクについてしっかり知って判断することで損失を抑えて利益を増やしていけるのではないでしょうか。

まずは、リスクの種類について知りましょう。

金融商品におけるリスクの種類

リスクには、様々な要因による種類があります。

金融商品の性質によって、影響を受けるリスクは異なります。

①価格変動リスク

金融商品の価格が日々変動する価格差のことをいいます。

株式を例に出して説明します。

1株あたり3,000円で購入した株式が次の日2,900円になっていた。

これが価格変動リスクです。

市場での取引によって、価格が上下する「値幅の不確実性」です。

個別株式やFXのリスクが高いのは、価格変動リスクが高いからです。

株価が上がるのか、下がるのか、短期的に見るほど、価格変動の幅は不確実です。

②デフォルトリスク

デフォルトは日本語で「債務不履行」といいます。

信用リスクとも呼ばれていて、国や企業の信用度をあらわしています。

国の場合は、国債の利回りや格付け会社の格付けによって判断されます。

南アフリカ10.280%
アメリカ4.205%
日本0.663%
(2023/08/03)国債格付け一覧 世界の主要国 金プラチナ相場情報分析サイト Let’s GOLD (lets-gold.net)
南アフリカBB-
アメリカAA+
日本A+
(ソブリン格付け)債券利回り (investing.com)

株式会社の場合は、倒産の可能性や経営状況の悪化などを指します。

トヨタ自動車A+
ファーストリテイリングA
野村ホールディングスBBB+
S&P Global Ratings (spglobal.com) より自国通貨建て長期格付け

③流動性リスク

金融マーケットは、基本的に買いたい人と売りたい人がマッチングして売買が成立します。

A社が倒産しそうだ!

となった場合に、A社の株式を保有している人は売りたいですが、

新しく買いたい人はほとんどいません。(A社が倒産した場合、株価は0円です)

この場合、流動性リスクが発生します。

売りたいときに売れない(買ってくれる人がいない)

買いたいときに買えない(売ってくれる人がいない)

為替取引で最も流動性リスクが低いのは「ユーロドル」です。

世界で最も流動性が高い通貨ペアです。

一方、流動性が低い通貨ペアはマイナーなペアです。

「トルコ円」「ルピー円」などが上げられます。

これらの通貨は、日本で好まれて取引されていますが、流動性は低く、ユーロドルに比べてリスクが高い通貨といえます。

トルコの経済状況が悪化したときなどに、流動性が低くて取引ができない可能性があります。

④インフレリスク

インフレーション(物価の上昇)によって、貨幣価値が下がるリスクのことをいいます。

日本ではインフレリスクが高まっています。

10円で買えたうまい棒は、2022年4月に1979年の発売以来初めて12円に値上げされました。

10円で買えたものが2円余分に出さないと買えない。

つまり、2円分日本円の価値が下がった(=物の価値が上がった)ということです。

銀行口座にお金を預けているだけの人がさらされているのがこのインフレリスクです。

投資商品は、インフレーションに伴って上昇していく傾向がありますが、日本は低金利政策を続けているために銀行預金利息は全く増えません。

物価上昇が激しくなると、銀行に預けているお金の価値は減ってしまい、長い目で見ると損をする可能性があります。

身近な金融商品のリスクの高さランキング

リスク一覧

リスク高複数のリスクあり資産がマイナスになる可能性あり暗号資産(仮想通貨)
FX・CFD取引株式(外国)
株式(先物)
株式(現物)
不動産投資アクティブ型投資信託
リスク中価格変動リスク低く長期保有で利回りを期待できるREITインデックス型投資信託
リスク低元本保証あり個人向け国債定期預金

金融商品によって、リスクとリターンは大きく異なります。自分のリスク許容度に合わせて商品を選ぶと良いでしょう。

ポートフォリオを組もう

投資をしている人は、複数の金融商品を保有しています。

金融商品の組み合わせ方や割合を「ポートフォリオ」といいます。

自分が引き受けられるリスク許容度やリスク許容額を決めて、複数の異なるリスクの金融商品を組み合わせてバランスよく保有しましょう。

ポートフォリオを組むことで、理想の資産形成が実現しやすくなります。

リスク許容度を正確に見極めること

ここまで、金融商品のリスクについて紹介してきました。

投資を行う上で、一番大切なことは「自分にあったリスク許容度」を決める事です。

あなたはいくらの損失まで許容できますか?

リスク許容度とは

前出の金融商品のリスク一覧にあるように、利益を得られる投資ほど、損失が出る可能性が高くなっています。

自分がいくらまで損失を許容できるか、ということは、

  • 心理的
  • 経済的
  • 環境的

3つの側面から検討することができます。

心理的性格経験慎重な性格ほど低い経験が少ないほど低い
経済的年収資産額多いほど高い多いほど高い
環境的年齢ライフプラン若いほど高い将来に必要なお金が多いほど低い

見極めるには実践しかない。体感で感じるリスク許容度

診断ツールや自分の環境からリスク許容度を導き出すことができます。

しかし、実際に投資をして日々の資産額が増減したときに自分がどのように感じるのかは、実際に経験しないと分かりません。

イメージで思う「10%の損失」と

「投資した100万円が90万円に減った」(10%の損失)

では、感じ方は全く違います。

実際に、血の気が引いたり、全ての投資が嫌になって損失を確定してでも資産を引き上げたくなったりします。

リスクが中程度の「インデックス投資」のみを長期保有で行う、というのが最適解であるという投資本や投資家が多くいます。

実際に、やってみてそれがどれほど忍耐力がいることなのか、もしくは自分に合っているのか、経験を積むことで判断できます。

お金を減らすのがこわい、と思って資産運用をやっていない人は、小さな金額でもいいので何かしら投資信託を買うことをおすすめします。

まとめ

金融商品へ投資をするときの「リスク」という言葉は、価格や投資環境などの変化が「不確実である」度合いを示す言葉です。

投資をしたときに受け入れられるリスクは、人によって異なります。

自分のリスク許容度を知り、無理のない投資をしていきたいですね。

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