ライフプランという言葉を聞いたことはありますか?
人生の計画を、ライフイベントやお金の面から立てることをいいます。
人生100年時代といわれるように、健康的な生活を送る時間が長くなっている現代。
ひとりひとりが自分のライフプランをイメージして生活をすることが豊かな人生を過ごすポイントになってくるかもしれません。
この記事では、ライフプランの立て方を簡単に紹介します。
ライフプランとは
ライフプランってなに?
ライフプランは日本語に直訳すれば「人生の計画」です。
「どんな人生を送りたいか」
「これからの人生でやってみたいことがある」
誰でも、人生の目標や夢がありますよね。
でも、はっきりと言語化している人は意外と少ないかもしれません。
そして、人生の計画を立てて、資金面からイベントまでしっかり計画を明確にしている人はもっと少ないかもしれません。
ぼんやりと考えている理想の人生はライフプランを立てることによって実現することができます。
旅行に行く時には、事前に決めておくことがたくさんあります。
何も決めないで行く旅も楽しいですが、家族旅行や友人との旅行は事前に計画を共有する必要があります。
- 行き先
- 日程
- 交通手段(行き方)
- 宿泊先
- 訪れる場所
- やりたいこと
- 食べたいもの
- 買いたいもの
- お土産
- 予算
ざっと考えてもこれだけのことを調べます。
人生にも同じことがいえるのではないでしょうか。
日々、なんとなく過ごすことが日本ではできます。
ですが、目的地ややりたいこと、買いたいものを明確にしておくことでより自分の価値観に合った人生が送れます。
そのためのツールがライフプランです。
ライフプランを立てるために次の3つの表を利用します。
- ライフイベント表
- キャッシュフロー表
- 個人バランスシート
ライフイベント表
ライフイベント表は、自分と家族、パートナーなど生活を共にしている人たち全員の将来の予定や「やりたいこと」を時系列に並べて一覧表にするものです。
- 息子の高校入学
- 娘の結婚
- 家族で海外旅行
- 父の定年退職
など
なんとなく決まっているだろう予定を実際に年を入れて表にすることで、見えてくるものがあります。
イベントの優先順位や、情報の共有、イベントに必要なお金、新しいイベントを追加したくなったり、家族で情報を共有することで楽しみが増えるでしょう。
例
2022 | 2023 | 2024 | 2025 | 2026 | 2027 | 2028… | ||
夫 | 太郎 | 48 | 49 | 50 | 51 | 52 | 53 | 54 |
妻 | 花子 | 45 | 46 | 47 | 48 | 49 | 50 | 51 |
長女 | 美保 | 20 | 21 | 22 | 23 | 24 | 25 | 26 |
長男 | 芳夫 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 |
イベント | 長男高校入学 | 長女就職 | 車買換え | 家族海外旅行 | ||||
資金 | 50万円 | 30万円 | 200万円 | 150万円 |
キャッシュフロー表
キャッシュフロー表は、1年間の家計の収入と支出で資金収支を一覧にします。
収入や支出について話し合うために必要な情報が皆で共有できます。
収入と支出の結果、貯蓄残高(単年キャッシュフロー)がわかります。
将来の収支状況を予測してキャッシュフローを一覧にすることでライフイベントに金銭面での準備ができます。
現在のお金と価値と、将来のお金の価値は異なるため、「将来価値」に直す必要があります。ただし、これは予測に過ぎませんのでこの通りになるとは限りません。
物価上昇率や収入の増加見込み、貯蓄の運用利率などの変動率を考慮します。
年間収支=収入合計ー支出合計
貯蓄残高=前年の貯蓄残高×(1+運用利率)±当年の年間収支
キャッシュフロー表は、ライフイベント表と一緒に一覧にできます。
例
2022 | 2023 | 2024 | 2025 | 2026 | 2027 | 2028… | ||
夫 | 太郎 | 48 | 49 | 50 | 51 | 52 | 53 | 54 |
妻 | 花子 | 45 | 46 | 47 | 48 | 49 | 50 | 51 |
長女 | 美保 | 20 | 21 | 22 | 23 | 24 | 25 | 26 |
長男 | 芳夫 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 |
イベント | 長男高校入学 | 長女就職 | 車買換え長男大学進学 | 家族海外旅行 | ||||
資金 | 50万円 | 30万円 | 200万円100万円 | 150万円 | ||||
収入 | 夫収入 | 590 | 595 | 601 | 607 | 613 | 620 | 626 |
妻収入 | 80 | 80 | 80 | 80 | 80 | 80 | 80 | |
収入計 | 670 | 675 | 681 | 687 | 693 | 700 | 706 | |
支出 | 生活費 | 240 | 242 | 244 | 247 | 249 | 252 | 254 |
住居費 | 150 | 150 | 150 | 150 | 150 | 150 | 150 | |
教育費 | 100 | 70 | 30 | 30 | 70 | 50 | 50 | |
保険料 | 20 | 20 | 20 | 20 | 20 | 20 | 20 | |
その他 | 30 | 80 | 30 | 30 | 330 | 180 | 30 | |
支出計 | 540 | 562 | 524 | 477 | 819 | 652 | 454 | |
年間収支 | 130 | 113 | 157 | 210 | -126 | 48 | 252 | |
貯蓄残高(1%) | 980 | 1102 | 1270 | 1492 | 1380 | 1441 | 1707 |
個人バランスシート
バランスシートは企業の「貸借対照表」のことをいいますが、個人の家計についても試算と負債のバランスを表すことができます。
資産と負債の状況を表にして把握することで、家計の状態がわかります。
項目は、時価で表します。
2023年の個人バランスシート
【資産】現預金 500万円 株式 120万円 投資信託 360万円 マンション 2500万円 自動車 120万円 | 【負債】住宅ローン 1800万円 【純資産残高】 1800万円 |
資産合計 3600万円 | 負債・純資産合計 3600万円 |
ライフプランの必要性
これからは一人ひとりがライフプランを立てることがますます重要になります。
その理由は大きく3つあります
人生の長期化 | 健康寿命が伸びて人生100年時代に突入 |
社会の変化 | 雇用やライフスタイルの変化で多様な生き方が可能に |
日本の経済 | 少子高齢化社会で経済成長がゆるやかに自分で資産運用が必要な時代 |
人生が100年になったことで65歳で定年しても35年近い人生があることになります。
年金を受給する年齢は、昔は平均寿命と同年齢くらいを想定していました。
現代では、年金を受給する65歳から30年以上の寿命があると見られています。
そう考えると、65歳から年金を頼って暮らすというのは現実的ではないのかもしれません。
昔の65歳に比べて、今の65歳は若々しいですよね。
60代〜70代の多くは、自分が「高齢者」だという意識がないのではないでしょうか。
テレビで見かけたり、実際に接したりする60代〜70代の大人はとても元気です。
人生が長くなったことで誰もが「第2の人生」や「パラレルキャリア」について考える必要が出てきました。
長い人生でどんな仕事を、どのように行うか。
1つ、2つ、それ以上、の仕事をもったり、ボランティア活動をしたり、と人生の選択肢は今までの社会にはないほど多様です。
そのため、人生の計画を自分自身で立て、自分の価値観を反映させたライフプランを持つことが充実した人生にかかせないのです。
また、フリーランスが増えたり、正社員登用が減っている日本社会の雇用問題や社会保険料の値上がり、物価上昇などで実感として、今までの日本の老後の生活は実現が難しくなっていると感じています。
働き方や資産運用など、自分なりに対策を立てることが求められることは今後も強まるでしょう。
人生の長期化や社会の変化は、ネガティブにもポジティブにもとらえられますよね。
ポジティブに人生を送るために、具体的にライフプラン表がどのように活用できるのか、みてみましょう。
ライフプラン表の活用法
「ライフプラン表って難しそう」
「こんなに細かく考えるのはいや」
このように感じるかもしれませんが、数字はなんとなくでも大丈夫です。
詳しくお金の数字を知りたければFP(ファイナンシャルプランナー)などの専門家を頼ることもできます。
まずは、自分でエクセルか手書きで簡単に一覧表を作ることで、人生を俯瞰で見るという視点を手に入れましょう。
一生の資産運用を考える
資産運用をするのは、老後資金のためだけではありません。
- 教育
- 住宅
- 老後
この3つは三大資金と言われていますが、その他にも車や結婚、リフォーム、医療費などまとまったお金が必要な時があります。
そのため、長期運用を前提とした投資信託ばかりを運用すると、運用成績が悪いときに解約しなくてはならなくなる可能性もあります。
短期 | 1~2年以内 |
中期 | 2~10年以内 |
長期 | 10年超 |
短期、中期、長期と3つの期間に分けて資産運用を考えるときに、ライフプランを使うと具体的に資金計画ができます。
- 収支の予測
- 貯蓄金額の見通し
- 使う時期などが見通せる
一時的に資産が減るときも計画の一部なら不安になることはありません。
夢や目標の実現を金銭面から具体的に叶える
現状把握するだけではありません。
自分の価値観を反映させたり、夢や目標のために収入を増やして、支出を減らそう、と目的に合ったお金の使い方を考えるツールとして最適です。
「今の収入や支出では、海外旅行に行く予算が中々たまらないな」
と思ったら「収入を増やす」「支出を減らす」の2つの方法があります。
両方を行うこともできます。
そして、海外旅行に行きたい日程を3年後、と考えているならこの3年間にいくらの収入を増やして、支出を減らせるか、という予測を簡単に立てられます。
例
年間収支がほぼ±0の場合、3年後に60万円の旅行費を貯めたい
1年に20万円貯める
↓
1月1万6千円貯める
↓
1万円を副業で稼ぎ、6千円は飲み会を2回減らして貯める。
これなら簡単に実現しそうではありませんか?
このように、将来のイベント表を一覧にしておくと、その理想の実現のために今できることが明確になります。
ぜひ、ライフプランを活用して理想の未来を実現していきましょう。
まとめ
よく聞く「ライフプラン」という言葉の意味について解説しました。
一見、数字の集まりで面白くなさそうな表を使っているのでとっつきにくい印象ですよね。
ライフプランはわたしたちの人生を豊かにするためのツールです。
自分で作ってみると、将来をイメージするのに役に立ちます。
将来の目的のために、今自分ができるお金のことを一目で把握でき、漠然としたお金の不安がなくなります。
エクセルで作成できるので、ぜひやってみてください。