「食習慣を改善することに関心はあるが改善するつもりはない」と回答した人が25%。
日本人の4人に1人は、食生活を改善して健康に気を使いたいと思うが実行していないという調査結果があります。(厚生労働省の「国民健康・栄養調査結果(令和元年)」より)
食生活の改善をはじめとする健康への気遣いは、お金の節約に直結しています。
また、健康でいることはお金を貯める近道になり、豊かな人生を送れます。
人生を豊かに暮らすためには「健康であること」がたいせつ?
健康
広辞苑第六版より
「身体に悪いところがなく心身がすこやかなこと。達者。丈夫。病気の有無に関する体の状態」
日本語として定義されている「健康」にあるような、身体に悪いところがない状態の人は少ないのではないでしょうか。
よりレベルの高い「健康」がある人は豊かに暮らせる
病気ではない状態に「未病」という状態があります。
- 疲れやすい
- 体力が落ちた
- 疲れがとれない
- 冷え
このような症状は将来「病名がつく病気」ではないですが、「体調不良」の状態ですよね。この未病の状態が続くことで深刻な病気につながっていくと考えられています。
冒頭で紹介した厚生労働省の調査結果にある「食習慣を改善することに関心はあるが改善するつもりはない」人たちは、あまり体調がよくない、または太っている自覚があるけれど改善するつもりはない、といった未病に近い状態の人が多いと思われます。
食生活を改善した気持ちがあるということは、未病の状態か、不健康な生活の自覚があると想像できます。
だれでも、健康のなかでもより状態が良い「心身ともにすこやかなこと」であるレベルを目指したいですよね。
お金の分野についても、より良い健康状態でいることは豊かに暮らす上で重要な要素です。
例えば、FP(ファイナンシャルプランナー)が作成するライフプラン表は、現在も将来も人生を安心して暮らせるように資金計画を立てられる表です。
実は、このライフプラン表には暗黙の了解として「このままの健康状態が続いたら」ということが含まれています。
今、病気をしないで会社に勤めている夫婦は、出産なども考慮しつつも大黒柱である人が健康で働き続けることを前提に収入があると仮定してライフプランニングをしているからです。
リスク管理として、保険の加入なども考慮していますが基本的には「〇歳で病気にかかる」という予定は入れようがありませんし、入れることはありません。
将来を通して仕事をして収入を得る、ことを前提に作ることがほとんどです。
つまり、わたしたちは健康であることを前提として将来について考えているのです。
健康であることは安定した人生を送る上で、思っている以上に重要なことかもしれません。
さらに、健康を維持することで「究極の節約」ができるとも言えます。
究極の節約=健康でいること
「健康でいることが一番の節約になります」
と、言われたらなんとなく直感的に正しい気がしますが、それはどうしてでしょうか?
当然、わたしたちは病気になったら病院にかかり、診療代を払います。
医療費がかからないということは直接的に家計の支出を減らすことに繋がります。
医療費の節約
医療費は、年齢を重ねるごとに多くなっていきます。
次のグラフを見てみましょう。
総務省統計から令和2年度の国民1人当たりの医療費総計をグラフにしたものを抜粋しました。
医療給付実態調査 報告書 令和2年度 | ファイル | 統計データを探す | 政府統計の総合窓口 (e-stat.go.jp)より
15歳〜19歳を底として、きれいな右肩上がりのグラフができています。
日本人は、年を重ねるごとに医療機関にかかっていることが分かります。
その割合は、70歳までにかかる医療費と70歳以降にかかる医療費の平均は大体同じになるようです。
70歳以上生きる人は、医療費の支出が多くなります。
わたしたちは、一生のうちにどのくらいの医療費が必要なのでしょうか?
その答えは、「一人当たり約2,800万円」です。
自己負担額は、このうち3~1割程度ですが、社会保険料として多額の税金を支払っています。
このデータは、総務省が毎年発表している「生涯医療費」から抜粋しました。
令和元年の生涯医療費※は次の通りです。
生涯医療費 | 構成割合 | ||
男女 | 2,789万円 | 75歳未満75歳以上 | 60%(1,671万円)40%(1,118万円) |
男性 | 2,691万円 | 75歳未満75歳以上 | 64%(1,714万円)36%(977万円) |
女性 | 2,892万円 | 75歳未満75歳以上 | 56%(1,625万円)44%(1,267万円) |
※令和元年度の年齢階級別一人当たり国民医療費をもとに、令和元年簡易生命表による定常人口を適用して推計したもの ※仮に、年齢階級別1人当たり国民医療費及び年齢階級別死亡率が当該年度から変化しないとした場合に、1人の人が生涯で必要となる平均医療費がどの程度かを推計したもの
75歳以降、病院に通わずに健康体なら1,118万円の節約になります。
現在、後期高齢者の医療費自己負担額は1割です。
社会保険料とは別に、111万円の節約になります。
残りの1007万円は社会保険料から支払われていると思うと、現役世代の負担が重いのがわかりますね。
社会全体の財政を「節約」するためにも、医療に頼らない健康体でいることは社会貢献になります。
個人的なレベルでも医療費は、大きな負担になることがあります。
保険が効かない治療を希望する場合、自費治療で多額の医療費が必要になります。
社会的にも個人的にも健康でいることで医療費を節約でき、お金の問題を減らすことに直結しています。
食費の節約
食費を過度に節約することは、身体を不健康にすることにつながります。
栄養バランスのとれた食事をとるための費用を削ることはおすすめできません。
けれど、健康のことを考えると「嗜好品」をやめることなり、大きな節約になります。
- 砂糖
- 脂質
- アルコール
みんな大好きですよね。
- ポテトチップス
- チョコレート
- ラーメン
- ピザ
- ビール
これらは、脂質と糖質がたっぷりの依存性・中毒性がある食品です。
「やけ食い」する人は、上記のような炭水化物を好んで選ぶ傾向があるようです。
大量に摂取していた場合、やめることで食費の大きな節約になり、健康になります。
特に、「やけ食い」や「やけ酒」は、健康とお金を両方損なう大変「損」な行為です。
やけ食い・やけ酒は、「情動性摂食」・「感情性摂食」などといって、脳が本能的に快感を求めるために起こるようです。
「イライラ、ストレスフル、落ち込む」といったネガティブな状態を「食べる」という生理的欲求を満たすことで「快感」の刺激をあたえ、ポジティブなホルモンを分泌してニュートラルな状態に戻ろうとするためにおこる本能的な現象ともいえます。
内臓を傷つけたり、ストレスが解消するどころかよけい蓄積するという研究結果もあります。
全てをやめる必要は全くありませんが、習慣になっていたり、中毒、依存気味だと気づいたら習慣を改善してみましょう。
「食べる」以外にお金のかからないストレス解消法を見つけることで節約にもなりますし楽しい時間を過ごせます。
ストレス解消の代替案は次のようなものがあります。
- 散歩
- 温かいお茶をゆっくり飲む
- 読書
- 音楽を聴く
- 瞑想
- 運動
- 良く寝る
- 温泉に入る
- 絵を書く
- おしゃべりをする
交通費の節約
70歳を超えて、医療費が多くかかる年齢になると交通手段が問題になってきます。
車の運転免許証を返納する年代になり、自分で車を運転するのが難しくなるからです。
交通事故を起こす前に免許証を返納するのが一般的になっています。75歳以上になると一気にブレーキとアクセルの踏み間違えが起こりやすくなるといいます。
さて、自分で歩く能力を維持できる場合、徒歩は無料です。
必要に応じてバスや電車も利用でき、交通費を節約できます。
一方で、一人で出かけるのが難しい場合、どこへいくにもタクシーが必要です。
高齢者のためのタクシー代助成金がでる、介護タクシーが利用できる、など高齢者の交通手段としてタクシーが利用しやすくなっています。
しかし、タクシーで通院する場合は医療費控除の対象になり、自治体からタクシー代の補助が出るとはいえ高額になります。
例えば、タクシーの利用料金平均を次のように仮定します。
片道1,000円
往復2,000円
週5回、スーパーや病院にタクシーでいくとすると週10,000円
月4〜5万円の費用になります。
介護タクシーならもっと費用がかかります。
40代〜60代のうちに運動習慣をつけて、筋肉を維持して「体の健康」を保つことは将来の交通費を節約することになります。
豊かな人生のために健康を維持する逆転の発想をもとう
食生活を改善するつもりはない人は日本人の4人に1人。運動習慣を改善するつもりがない日本人は3人に1人いるという調査結果があります。(厚生労働省「国民健康・栄養調査結果(令和元年)」より)
「健康にいいのは分かっているがやる気はない」
健康であることは当たり前すぎてモチベーションにつながらないのではないでしょうか。
健康であることで「節約」になる、という「お得感」があれば少しは健康に良い習慣をつけようという気になるかもしれません。