リジンはアミノ酸の一種で、人間の身体を構成するタンパク質の材料となる栄養素です。
タンパク質として人間の身体を作る働きの他にも、スタミナや集中力をアップさせる効果があります。他にも、肝機能の強化や栄養素の吸収率を良くするなど様々な健康を促進する働きをしています。
リジンは不安やストレスを和らげる効果もあるため、副業でストレスをためやすい人は特に積極的にとりたいアミノ酸です。
リジンは、最も不足しがちなアミノ酸ですが、体内で合成できない必須アミノ酸なので、毎日の食事から補給する必要があります。
アミノ酸をバランスよく摂取できるサプリメントなどを利用して、心身ともに健康な身体をキープしていきましょう。
リジンは不足しやすいアミノ酸
リジンは、別名「リシン」ともいわれており、身体を作るタンパク質の中に約2〜10%含まれています。
リジンとは
必須アミノ酸の中で最も不足しやすいといわれているリジンは、動物性タンパク質をしっかり摂ることで補給できます。
リジンは、牛乳のタンパク質から発見されたように、乳製品や豆類、肉や魚に多く含まれています。
体内で作ることができない必須アミノ酸であるため、食材から摂取しなければなりません。
身体作りに欠かせないタンパク質の材料である他に、ホルモンや酵素、抗体を作る材料として体内で利用されていて、身体の部品を成長させたり修復したりする成分として重要な働きをしています。
体内にリジンが不足すると、身体の成長や免疫力に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。
制限アミノ酸になりやすいリジン
リジンは、アミノ酸スコアを下げる可能性が大きいアミノ酸です。
他のアミノ酸に比べて、不足しているアミノ酸のことを「制限アミノ酸」と呼ぶことがあります。リジンは、最も制限アミノ酸になる可能性が高い成分です。
タンパク質にはユニークな特徴があります。
20種類のアミノ酸でできているタンパク質は、1種類でもアミノ酸の種類が体内でそろわないとタンパク質を合成できないのです。20種類のアミノ酸のバランスを「アミノ酸スコア」という点数で評価することがあります。
例えば、白米は必須アミノ酸をすべて含んでいる優秀な食品ですが、アミノ酸スコアは100点中65点です。リジンがタンパク質合成に必要なアミノ酸量の65%しか含まれていないからです。白米だけ食べても、他のアミノ酸も65%しか体内で利用できず、残りは体外に排出されてしまいます。
ベジタリアンなど動物性タンパク質を避ける食生活をしている人は特にアミノ酸スコアを意識してアミノ酸が不足しないように気を付けないと、筋肉量が減少したり健康リスクが高まってしまいます。
穀物や野菜にはリジンはあまり含まれておらず、豆類には含まれているため、動物性タンパク質が苦手な人は大豆や小豆などの豆類を多く食事に摂り入れる必要があるでしょう。
または、サプリメントなどを利用してアミノ酸スコアをよくすることもできます。
リジンはストレスをやわらげるアミノ酸
リジンの主な働き
リジンの主な働きは次の通りです。
- ストレスや不安を和らげる効果
- 肝機能の強化
- 髪の毛のトラブル改善
ストレスや不安を和らげる効果
リジンはアルギニンと共に摂取することでストレスや不安を軽くする効果が期待できます。
リジンは、刺激を感じると分泌されるストレスホルモンと呼ばれるコルチゾールの血中濃度を下げる働きをします。同時に、アミノ酸であるアルギニンの血中濃度も低くなるよう促進してしまい、アミノ酸のバランスが悪くなってしまいます。この作用を抑えるために、アルギニンを一緒に摂取するリジンのサプリメントが開発されています。
また、不安な気分は、脳の情報伝達物質がうまく調整できずに起こると考えられています。
リジンとアルギニンを一緒にとることで、神経伝達物質にいい影響を与えて脳に不安を軽減させる影響を与えている可能性があります。
プラセボ(偽薬)を用いた実証実験では、リジンとアルギニンの含まれるサプリメントを摂取したグループのストレスに対する能力が向上したことが分かりました。
2004年には、アメリカの有名な科学雑誌でリジンとアルギニンを組み合わせて補給することでストレスから起こる不安が抑えられるという研究が発表されました。
また、リジンを補給すると不安が長期にわたって抑えらえると2002年には報告されています。
肝機能強化
リジンには、肝臓の働きを促進する効果があります。
特に、肝臓が暴飲暴食やアルコールの過剰摂取などで弱っているとき、疲れているときに、リジンを適量摂取することで、消化酵素(リパーゼ)の働きを促進して、脂肪の分解をスムーズにします。
リジンが不足し、肝臓での脂肪の分解作用が滞ると、血中コレステロールが増加したり、飽和脂肪酸が増え、血管が詰まりやすくなってしまいます。
不足しがちなリジンを意識してとることで肝臓の働きがよくなり、疲れにくい身体になります。
髪の毛を健康にする
リジンは髪の毛の健康を保つ効果があります。
特に、男性の脱毛症改善に効果があるとされて、育毛剤の成分にも利用されています。
また、AGA治療薬のプロペシアといった薬の効果を高めることもわかっています。
リジンは毛根の内部に多く含まれるアミノ酸で、毛髪が頭皮の内部に留まる機能に大きく関わっています。そのため、リジンが不足すると毛根が弱って抜け毛が増える可能性があります。
イギリスの医薬品会社は、性別に関係なく薄毛や抜け毛の様々なトラブルの改善にリジンの摂取が有効であるという実験結果を示し、アメリカで特許を取得しています。
リジンと一緒にミネラルである鉄を摂取することで髪のボリュームを保ち、抜け毛が防げるという研究も報告されています。
リジンが含まれる食品
豆類に多く含まれるリジン
リジンは「最も不足しやすいアミノ酸」といわれており、意識して毎日の食事に摂り入れたい栄養素です。
何を食べたら効率よく摂取できるのでしょうか。
答えは、和食です。
リジンは豆類に豊富に含まれているので、納豆や豆腐、味噌など伝統的な日本食を食べることで豊富に体内に摂り入れることができます。
このような朝食はどうでしょうか。
納豆
豆腐の味噌汁
ごはん
ご飯にお味噌汁、納豆や豆腐を加えると、食事全体のアミノ酸スコアは100に近づきます。
このように、複数の食品を食事から取り入れることが「バランスよい食事」になり、充分なアミノ酸を補給することができます。
その他、リジンは動物性タンパク質に多く含まれています。
次の表に代表的な食品を挙げました。
100gあたりのリジン含有量(mg)
牛乳 200mg
豆腐 500mg
納豆 1,000mg
鮭 1,800mg
鶏むね肉 2,000mg
リジンの1日に摂取する目安量はWHO(世界保健機関)によると、大人体重1キロあたり30mgです。
体重60キロの人は1日1,800mgがリジンを摂取する目安量となります。
食物から体内に摂り入れるリジンは過剰摂取となることはないといわれていますが、サプリメントなどのリジン単体での過剰摂取については注意が必要です。
日常的に過剰摂取を続けた例では慢性腎不全を発症した女性がいるということです。
リジンを不足させず効率よく摂取するには?
リジンは不足しやすいアミノ酸といわれていますが、リジンが体内に不足した状態が続くとどのようなデメリットがあるのでしょうか。
次のような日常生活に悪影響を及ぼすトラブルが起きる可能性があります。
- 集中力の低下
- めまい
- 吐き気
- 疲れやすくなる
- 成長障害
肝臓の機能が低下することで疲れやすくなり、免疫機能が下がったり、細胞を作る働きが弱まってしまいます。
また、必須アミノ酸であるリジンが不足すると、他の19種類のアミノ酸をたっぷり摂取したとしてもリジンが不足しているためにタンパク質の材料が足りず、筋肉量が落ちたり、成長の妨げになってしまいます。
また、高齢の男性は他の年代の人に比べてより多くリジンを摂取する必要があるともいわれています。
リジンをはじめとした9種類の必須アミノ酸を中心に、バランスよく栄養をとることは、健康な身体作りに欠かせません。
食事のバランスを毎食整えるのは難しいですよね。サプリメントなどを活用して栄養バランスを良くしてみませんか。
まとめ
リジンは、必須アミノ酸の中で最も不足しやすいアミノ酸といわれています。
アミノ酸スコアを上げて、効率よくタンパク質を合成したり体内で利用したい時にはリジンを意識して摂取してアミノ酸全体の働きをよくすることがよさそうです。
リジンは、豆類や動物性タンパク質に多く含まれているため、和食の朝食を取り入れるのがおすすめです。
栄養バランスを意識した食事を用意するのが難しいときは、サプリメントなどでアミノ酸を補給しましょう。
ストレスや不安を和らげる効果があるので自宅で作業を続けるデスクワーカーはリジンを十分とりたいですね。