メチオニンは、人間の身体に欠かせない重要な働きをするアミノ酸です。
硫黄が含まれている含硫アミノ酸であるメチオニンは、肝機能を強化する効果が期待できるため、疲労を感じにくくし、元気に活動できるようになる有益な栄養です。
人間の身体を構成しているタンパク質を構成するアミノ酸20種類のうちのひとつで、体内で合成できない必須アミノ酸に分類されます。
必須アミノ酸は、食事やサプリメントから日々補うことで身体に取り込む必要があります。メチオニンは、摂取が必要な一方で過剰摂取には副作用があるため摂りすぎは禁物です。
健康を維持して元気に活動していきたい人は、メチオニンを含むアミノ酸を意識して摂ることをおすすめします。
メチオニンの効果や摂取方法についてみていきましょう。
メチオニンは硫黄を含むアミノ酸
メチオニンは、身体を構成するアミノ酸のひとつで、口から栄養として取り入れることで体内に取り込むことができる必須アミノ酸です。
肝機能の強化や、アレルギー症状の原因となるヒスタミンを抑制する働きがあります。
不足すると、肝機能が低下して体内の水分調整が滞りむくみが出やすくなります。
メチオニンとは
メチオニンは、脂肪の代謝に関わり、肝臓が健康に働くために必要な栄養であることが一番の特徴です。
必須アミノ酸と呼ばれる、食事やサプリメントから摂取しなければならないアミノ酸は9種類あります。特に、メチオニンは硫黄を含むアミノ酸(含硫アミノ酸)として重要です。
タンパク質の構成比率としてメチオニンは少ないですが、代謝に欠かせないアミノ酸として意識して不足しないようにしたいですね。
メチオニンは、体内に取り込まれるとシステインやケラチンといった他のアミノ酸を作る材料として利用されるため、様々な効果が期待できます。肝臓でデトックスを促し、脂肪の代謝を促進することで身体を元気に保ちます。また、うつ病や統合失調症を改善することがわかっています。ケラチンが十分作られると、髪の毛が丈夫になったり、育毛や発毛が促進されたり、美肌にも効果があります。
含硫アミノ酸であるメチオニン
メチオニンには微量の硫黄(イオウ)が含まれていることによって特有の働きをします。
硫黄と聞くと「温泉のにおい」や「卵の腐ったにおい」を連想しませんか。
これは、硫黄が水素を結びついて生成される硫化水素特有のにおいで、硫黄にはにおいがありません。
硫黄はミネラルであり、自然界の様々な物質に含まれていて、人間の身体にも硫黄は欠かせない成分です。身体の中で、細胞の働きを正常に保つ、DNAの変更、組織の保護など重要な働きをしています。タンパク質は代謝しているのですが、古いタンパク質が分解された後に新たなタンパク質を作り出します。運動で傷ついた筋肉の修復に欠かせません。
タンパク質を構成するアミノ酸20種類の中で含硫アミノ酸は、メチオニンとシステインの2種類だけです。重要な栄養を作るために欠かせないアミノ酸です。
システインはメチオニンを材料として体内でも合成できるアミノ酸なので、メチオニンの摂取はより重要です。
メチオニンは、体内に入ったあと様々な物質に変換され、直接的にも間接的にも身体の健康を維持しています。
メチオニンの重要な機能「メチル化」
メチオニンには「メチル化」という重要な役割があります。
メチル化は「メチル基」という-CH3と表される分子のつながりが様々な物質とつながることを言います。
アミノ酸やDNA・RNAなどがメチル化すると体内の代謝に必要な物質に変化します。
DNAがメチル化すると、SAMと呼ばれる分子に変換されます。
SAMは、DNAにメチル基がくっついた物質で、DNAの変換や代謝に関わる働きをします。
食事から直接体内に摂り入れたメチオニンがDNAのメチル化に影響を及ぼすか否かについては、はっきりした結論が出ていません。有効である、という実験結果や逆に有害である、という説もあるようです。
これからも研究が続けられていく重要なアミノ酸であることが分かりました。
メチオニンは肝機能をサポートするアミノ酸
メチオニンの主な働き
メチオニンの主な働きは次の通りです。
- 肝機能強化
- 美容効果
- 脂肪分解
- アレルギー症状の緩和
肝機能強化
メチオニンは肝臓に必要なアミノ酸です。
肝臓の機能をサポートすることに加え、「抗脂肪肝栄養素」と呼ばれる肝臓に脂肪が蓄積するのを予防する効果があります。
特に、メチオニンが「メチル化」してATP(アデノシン3リン酸)と結びついたSAMeという物質に変換されたアミノ酸に変化すると、肝機能の改善に有効であるといいます。
また、メチオニンはアルコールが肝臓で処理するときに大量に消費されるアミノ酸でもあります。その他の毒素や老廃物を代謝して体外に排出する肝臓の働きにもメチオニンが消費されます。
暴飲暴食や過度な運動などをする人はメチオニンを始めとしたアミノ酸を意識しましょう。
不足するとタンパク質を合成する材料としてのメチオニンがなくなり筋力が低下したり、血中コレステロール値が上昇して体調が乱れる事があるようです。
美容効果
メチオニンは、タンパク質の構成要素としてはもちろん、他のアミノ酸や美容に欠かせない栄養素の材料となる物質です。
豊富に摂取することで、髪の毛や肌を健康に保つことができます。
メチオニンは、ケラチンに変換されることで髪の毛を構成するタンパク質になります。そのため、毛髪の健康に欠かせないアミノ酸であり、薄毛や脱毛症、抜け毛に効果が期待できます。
ケラチンは髪の毛の99%を構成するタンパク質です。メチオニンをはじめとしたアミノ酸を適切に摂取することで健康な毛髪を維持することにも役に立ちます。
シミの原因となるメラニン色素の生成を抑制する働きがあるシステインは、メチオニンから作られます。
また、メチオニンには抗酸化作用があるセレンというミネラルを体中に運搬する役割があるので、セレンと一緒に摂取することで抗酸化作用の促進が期待できます。
他にも、セレンと一緒に働くことで有害な重金属などの毒素を体外に排出する働きがあり、脳に毒素が溜まるのを防くといったアンチエイジング効果があります。
脂肪分解
メチオニンから作られる物質は、体内の脂肪を分解したり、エネルギー代謝のサポートをしたりすることで脂肪が燃焼する効果を促進することができます。
体内でカルニチンに変換されることで脂肪をエネルギーに変換する代謝のサポートをします。カルニチンが細胞にあるミトコンドリアに脂肪酸を運ぶことで脂肪燃焼の効率が良くなります。
メチオニンはタウリンに変換されるとコレステロールの分解を促します。栄養ドリンクに配合されたりするタウリンは生活習慣病や動脈硬化の予防が期待できるとして研究がすすめられています。
アレルギー症状の緩和
メチオニンは、アレルギー症状を起こす物質であるヒスタミンの働きを抑制する作用をもっているため、花粉症などのアレルギー症状の改善に効果が期待できます。
メチオニンを体内に摂り入れると血液中のヒスタミン濃度が低下します。
メチオニンが含まれる食品
タンパク質の多い食事を意識しよう
メチオニンは、魚類や肉類に多く含まれています。
食事として摂りやすい卵の白身には、硫黄を含むアミノ酸であるメチオニンやシステインが特に多く含まれていると言います。
食事に意識してタンパク質が豊富な食材を選ぶとメチオニンは十分に取れるでしょう。
主な食品のメチオニンの含有量は次の通りです。
100gあたりのメチオニン含有量(mg)
クロマグロ 760mg
鶏むね肉 640mg
豚ロース 620mg
鶏卵 390mg
納豆 260mg
メチオニンの1日に摂りたい最低量は大人で体重1キロあたり15mgです。
体重60キロの人なら1日に900mgのメチオニンが必要になります。
毎食、たんぱく質が十分にとれる肉、魚、大豆類などを食べていれば問題なく1日に必要なメチオニンを摂取できます。
より意識してメチオニンを摂取したい人はサプリメントを利用するのもおすすめです。
過剰摂取・不足の注意点は?
メチオニンが不足すると、肝臓の働きに必要な栄養が枯渇することで機能が低下し体調に悪影響を及ぼします。特に、高齢になるとメチオニンが不足しがちなのでしっかりとタンパク質を補給するとよいでしょう。
肝機能には尿から毒素を体外に排出する働きがあるので、肝機能が低下すると利尿作用が低下してむくみや毒素の蓄積で疲れやすくなります。
また、メチオニンから生成されるケラチンが不足してくると抜け毛などの髪の毛のトラブルの原因になります。アルコールを多く飲む人は、アルコールを分解する過程でメチオニンが大量に消費されるため、髪の毛に栄養が届きにくくなるといいます。
一方、メチオニンを摂りすぎた場合には問題があるのでしょうか?
食事で摂取できる量のメチオニンを摂りすぎたとしても健康に問題はないとされています。
サプリメントの過剰摂取など、食事から摂取できる以上の量のメチオニンを摂取した場合は、めまいや吐き気、低血圧などの症状が出るという実験結果があるため、サプリメントをとる場合は用法用量を守りましょう。
まとめ
メチオニンは、人間の身体を構成するタンパク質に含まれるアミノ酸です。
体内で合成できない栄養素であるため、毎日の食事やサプリメントで十分な量を補給する必要があります。
硫黄を含んでいるという特徴を持つアミノ酸(含硫アミノ酸)であり、体内に入ると「メチル化」して身体に重要な役割を果たす様々な物質の材料として利用されます。
筋肉や骨、髪の毛などの身体を作る他、肝機能の強化や脂肪分解によるダイエット効果などが期待できます。
肝臓でアルコールを分解するときに特に大量に消費されるため、お酒を飲む人は意識して食事やサプリメントからメチオニンをはじめとしたアミノ酸を摂取するようにしたいですね。